データドリブンな経営判断を実現するNRIの「UniDox」。その核となるデータ統合基盤にDomoを活用

1. ビジネス背景： 経営判断を高度化する「UniDox」
ビジネス状況が目まぐるしく変化していく中で、NRIは2022年10月から経営判断プロセスの短縮化・高度化・データ連動化の課題を抱えている企業に対して、戦略的経営判断を継続的に支援するDXサービス「UniDox（ユニドックス）」を提供しています。

2. 導入前の課題：データ統合基盤をどのように構築するか
経営を高度化するには、見る人にあわせた分析結果の表示、リアルタイムな情報更新が可能なデータ統合基盤が必要です。これを実現するには、複数のシステムを組み合わせて最適化する必要がありました。

3. なぜDomo？：システム要件とサポート品質から選定
構築するのにエンジニアが必要になると工数がかかるので、戦略を考える人自身がデータの構造を理解して、データの流れも設計できれば、これまでにはない付加価値を提供できます。そこでデータの収集、格納、加工、表示までを一つの手順としてできること、コーディングなど専門スキルがなくても提供できることを要件として検討しました。その上で日本での提供期間、サポートの品質についても調査しDomoを選定しました。

４. 導入後の効果：経営判断をOODAサイクルで回せるように
最新の経営指標とデータのファクトに基づいて、OODA（Observe・Orient・Decide・Action）サイクルを回せる状況をつくり、顧客企業が自ら戦略を打っては、反応をみて、修正していくことを繰り返し行うことで適応力をつけ、市場や顧客需要の変化に対して高い適応力を維持していけるように支援しています。

“Domoを活用したことで、思い描いたデータ統合基盤の構築を迅速に実現できました。データの収集やレポートの自動化により、３～4ヵ月から３～4日程度に期間が短縮されたことで、経営指標データを適宜確認でき、経営判断に生かせるようになります”

豊田英正 氏 | 事業共創コンサルティング部 デジタル共創戦略グループ シニアコンサルタント

1. ビジネス背景：経営判断を高度化する「UniDox」

NRIでは、2022年10月から経営判断プロセスの短縮化・高度化・データ連動化の課題を抱えている企業に対して、戦略的経営判断を継続的に支援するDXサービス「UniDox（ユニドックス）」を提供しています。ビジネスの収益構造や顧客の体験構造が変化していく中でも非連続な成長を続けていくために、企業は全体戦略、バリューチェーンの最適化戦略、業務戦略が欠かせません。UniDoxはそこに新たにデータ統合基盤を加え、経営の活動状況、顧客基盤、施策の効果検証など経営のKPIをリアルタイムに把握することで、経営判断の高度化を支援します。

豊田氏は、以前からコンサルティングの付加価値を永続的にしたいという思いがあり、それがUniDoxのサービスを提供するきっかけとなりました。

「時代の流れが早く、経営環境が大きく変わる中で、戦略コンサルティングとして顧客に提供する報告や分析、示唆の賞味期限がどんどん短くなっているように感じました。報告書の提出から1-3ヶ月は正しくても、市場や消費者の変化で半年後には顧客ニーズや売上予測は当てはまらなくなる可能性がありました。そのため分析や示唆の賞味期限を長持ちさせ、永続的にすることは新しいコンサルティングの形になると考えました。

私たちが提供する価値は、示唆そのものよりも、それを創出する過程にある事業構造の理解やデータポイントからの経営課題への論点分解、各論点の検証方法の設計などであると捉え直しました。顧客自身が市場や消費者の変化に応じて最適な結果を出し続けるように、継続的に支援していく、それがUniDoxです」

2. 導入前の課題：UniDoxを実現するために必要なデータ統合基盤をどのように構築するか

「本来はDXによって経営判断、経営そのものの機能がよりよくなるべきですが、SaaSの導入、あるいは外部企業へのアウトソーシングなどを通して、データが分散してしまい、経営判断の中核にデータが集まらなくなる現象を多く見てきました」

また、変化の激しい市場や顧客需要に適応していくためには経営判断プロセスの見直しも必要だと考えました。

「従来の全社的経営判断プロセスは決算周期と同期化されていて、経営計画の構築から経営施策の実行、実績の振り返り、次の経営計画の構築というプロセスが踏まれるのは年間に1～2回ほどです。経営施策の実行フェーズにおいても、数カ月かけて緻密に構築した戦略・計画を、1年を通していかに実行・実現していくことが重視されるため、3カ月で変わると言われているグローバルな消費者層の顧客需要に追従できません」

UniDoxを企画した時に、NRIのコンサルティングをどのような形でシステム化するかが課題だったと振り返ります。

「膨大なデータを大量に格納して表示するのではなく、職階・権限・裁量の差異に鑑みて見る人によってデータの切り口や抽象度を変えて、必要な分析結果で構成されるダッシュボードの構築と、新しいデータを取り込んで、常に変化するレポートを作りたいと考えました。それを可能にするデータ統合基盤を実現するには、データを格納するデータウェアハウス、複数のソースからデータを収集、整理、分析するデータパイプラインが必要で、BIツールだけでは足りず、複数のツールを組み合わせて最適化する必要があると考えていました」

3. なぜDomo？：システム要件とサポート品質から選定

「コンサルティングでは、顧客のビジネスについて環境や市場、業務内容などをさまざまな抽象度で理解して、戦略や必要な機能を考えます。構築するのにエンジニアが必要になると工数がかかるので、戦略を考える人自身がデータの構造を理解して、データの流れも設計できれば、これまでにはない付加価値を提供できます。そこでデータの収集、格納、加工、表示までを一つの手順としてできること、コーディングなど専門スキルがなくても提供できることを要件として検討しました」

構築方法を検討する中で、必要な機能をストレスなく一箇所で提供できるデータ統合基盤を構築する方法があることがわかりました。

「DomoはETL（データの抽出・変換・書き出し）、全社横断DMP（格納・管理・加工）、経営判断BI（可視化）のすべてをノーコード、かつ、ワンパッケージで行うことができます。そのため、プロジェクトマネジメントにおける伝言ゲームが発生せず、経営判断基盤の枠組みの実現化に向けて、強力な後押しになりました。また、構想者（コンサルタント等）がDomoを自ら活用できるため、イメージ通りのダッシュボードを構築できました」

要件に従い製品やベンダーを選定した結果、最終的にDomoを選んだ理由の１つについて次のように話します。

「日本市場での導入実績やサービス提供期間も調査しました。提供期間が短いとトラブルが発生時の対応などが不安だったからです。また、アフターサポートの内容、質、スピードについても各社を比較し、サポート体制が充実しているDomoを選定し、UniDoxのデータ統合基盤にすることを決めました」

４. 導入後の効果：経営判断をOODAサイクルで回せるようになる

UniDoxのサービスは、変化が著しい環境下での非連続な成長を支える体制をつくり、経営判断プロセスの短縮化・高度化・データ連動化を支援し、経営判断プロセスを完全デジタル化できるように支援します。その結果、最新の経営指標とデータのファクトに基づいて、OODA（Observe・Orient・Decide・Action）サイクルを回せる状況をつくり、顧客企業が自ら戦略を打っては、反応をみて、修正していくことを繰り返し行うことで適応力をつけていき、市場や顧客需要の変化に対して高い適応力を維持していけるようになります。

UniDoxのサービスを提供する上で顧客企業に対して、Domoを活用したメリットとして、次のように話します。

「DomoはSaaS型のサービスなので、オンプレミス型に比べて、時間、コスト、労力がかからずにスピーディに構築できます。従来は、データ統合基盤を構築する場合、設計、ベンダー選定、開発、そして利活用というように4工程になるので時間がかかりましたが、Domoがあればコンサルティングサービスの一環として、データ統合基盤を用意してすぐに体験してもらうことができます。顧客にデータがどう可視化されるのか、それを経営判断にどう活かせるのかを体験してもらい、実際にどこまで作り込んでいくのかを検討していきます。ファクトに基づく経営判断を体験してから、本格導入できるということが大きなメリットです」

NRIでは、UniDoxのサービス拡大のため、Domoのスキルを持つコンサルタントの育成をしています。

「今後、UniDoxという新しいデータ統合基盤の構築と利活用によるコンサルティングサービスを広く推進していきます。企業は、全体戦略、事業戦略、機能戦略という3つのレイヤーで動いていますが、ここにデータアーキテクチャという新しいレイヤーを加えて経営することが一般的になるように手助けしていきたいと考えています」