

DX人材育成カリキュラムを整備。データドリブンな組織への変革はDomoが鍵に【前編】


2023年4月、商号を日立物流からロジスティードに変更しました。ロジスティードとは、Logistics、Exceed、Proceed、Succeed、Speedを融合した言葉であり、ロジスティクスを超えてビジネスを新しい領域に導いていくことを目指しています。「スマートロジスティクス」をコアに、事業・業界を超えた協創領域の拡大を図り、新たなイノベーションを実現します。
http://www.logisteed.com/※【後編】Domoをお客様向けに提供するデータ分析ソリューションで活用している事例はこちら。

物流業界全体の傾向として、一部の領域を除きDXが進まないという課題がある。物流業界には膨大なデータがあるものの、そのデータを活用して新しいビジネスチャレンジができている企業は、グローバル企業を含めてほぼないというのが実情だ。
物流業界にはデータが膨大にあるが、有効活用できる人材が少ないことが課題だ。データ分析の研修を行っても、研修後に具体的にどういう場面で活用するのか、アウトプットがないと、研修を行っても新しい価値創造につながらない。
3.なぜDomo?: BI機能を評価して導入。後にDomoのフル機能を活用
BI機能として可視化に優れていることを評価してDomoの導入を決定し、データプラットフォーム、ETLは別のシステムを利用。1年後に、Domoをワンストップで活用するように。
2019年度からDomoを使用したDX人材の育成を開始。2022年に初級・中級・上級に分けたカリキュラムを整備し、2023年度以降実施していく方針。研修修了後に、現場で活かせるアウトプットを用意することを重視した。
5.導入後の効果: DX人材が着実に育ち、積極的なデータ活用が進む組織も
研修終了後のアウトプットとして、Domoを活用。DX戦略本部で作成したダッシュボードに、研修で得られたアイデアを加えて進化させている。現場から質問が寄せられるようになり、データドリブンな組織に着実に変化している。

“データ活用を身近にするツールとして、Domoは世界ナンバーワンです。少なくとも、現場の『Excelの使い手』を、『データの使い手』に変身させる魔法を使えるのは、Domoだけです”
半澤 康弘 | DX戦略本部 SCイノベーション部 部長補佐
1.ビジネス背景: データは膨大だが活用に至らない
物流業界のDX推進状況について、ロジスティード株式会社 DX戦略本部 SCイノベーション部 部長補佐 半澤 康弘氏は次のように話します。
「グローバルも含めて、全体的に進んでいません。EC物流など一部の領域はDXが進んでいますが、それでも物流の情報をマーケティングなど関連分野に活かすといった活用は、大手ECプラットフォームですらできていません」
物流に関連するデータはあるものの、それを活用できていない背景について、次のように分析します。
「データは使う用途があって生きるもの。使おうという意志、ビジョンがあるかどうかが活用度合いを左右します。国内企業に関しては、物流部門が他の部門に比べて発言権が弱い傾向があります。物流データを、購買、マーケティングなどに連携させて、在庫管理の最適化や販売促進に活用できるのが理想ですが、成功している事例が少ないのが実情です」
こうした背景には、日本企業全体がコストを下げる方向に集中しすぎて、新しい価値を生み出す方向に投資できないという背景があると半澤氏はみています。特に、人口ボリュームが多い団塊ジュニア世代がビジネスの中心となる中で、チャレンジングな方向よりも、確実で安定した方針を採用する傾向があります。
「日本企業も物流のコスト最適の重要性を理解している物流部門の出身者が、経営の意思決定をする立場になれば、物流のDXは一気に進むでしょう」
2.導入前の課題: データ活用ができる人材が育たない
データを活用できる人材を育成するためには、研修プログラムなどの教育への投資が必要です。しかし、研修を行ったとしても、それが実際の活用に結びつかない例が多いと半澤氏は話します。
「DXの研修を受けたいという従業員はたくさんいます。しかし、営業など現場で働くマネージャークラスが参加したとしても、その後学んだことを活用できる場がないと、意味がありません。研修というインプットだけでなく、現場でどういう形で活かすのかというアウトプットを用意する必要があるのです」
現場での活用が進まない理由の一つが、現場で収集できるデータが限定されていることです。
「倉庫の場合であれば、TMS(輸配送管理システム)やWMS(倉庫管理システム)のトランザクションデータが1日数億件という単位で発生します。しかし、これらのデータは、大体3ヶ月ほどで消してしまうので、長期的な分析ができないのです。現場の人が活かせるデータをサマライズして用意しておくような取り組みが求められます」
もう一つの理由として、現場の理解と評価体系の整備が追いついていないことがあります。
「研修を受けた人材が、現場に戻ってデータを使い続けるには、現場のトップの理解が必要です。しかし、現場ではPCの前に座ってデータを見ているよりも、倉庫現場の改善作業をするほうが評価されがちです。そのため、現場の理解を得て教育制度を整え、DX人材が適正に評価されるような仕組みが必要です」
3.なぜDomo?: BI機能を評価して導入。後にDomoのフル機能を活用
導入検討時、データ収集・蓄積については堅牢性と正確性を重視したシステムを、データ加工する部分は柔軟性とスピードを重視したシステムをそれぞれ導入することになりました。そして、データの可視化と分析のためのツールとして、BIツールを複数検討した中で、Domoが候補の一つとなりました。
「複数の製品を比較検討する中、ある製品はサーバーを自社で構築する必要があって運用コストがかかる、別の製品はBIとしての機能が劣るといった点から、候補から外しました。Domoは、ビジュアライゼーションで際立っており、柔軟で多様な表現ができることを評価しました。データを見る人が好奇心と共感を持って、日常的にデータと接することができると考え、導入を決めました」
当初、BIの機能性で導入したDomo。しかし利用するうちにDomoがワン・プラットフォームである利点に気づきました。
「Domoであればデータ収集・蓄積ができるストレージ、データ加工するETLもそろっているので、分析・可視化までワンストップでできます。気づくのに、導入して1年かかってしまいましたが、Domoにまとめてからはスピードが一気に上がりました。複数プラットフォームを契約して運用コストが嵩んでいた部分も削減できました」
「Excel関数が使えて、SQLの基礎知識があるユーザーであれば、Domoを使ったデータ分析ができます。一般的なBI製品で大量のデータを処理するには、ETLを使うことになるので、IT部門の担当者が必要です。しかしDomoのETLはノーコードにも関わらず処理はパワフルなので、Domoさえあれば現場でデータ分析を行うことができます」
半澤氏自身、Excelを高度に使いこなしていましたが、Domoで業務のデータ処理をするようになってからは、6−7割の工数でできるようになりました。業務処理が3倍程度早くなったという人もいるそうです。
4.定着化: 育成カリキュラムを整備し、DX人材を増やす
データを扱えるDX人材の育成のために、社内制度を整備しています。
「2019年度から、日々の改善活動である『VC21(Value Change & Creation 2021)』として、現場の所長、部長クラスにデータ分析の価値を訴求してきました。この層の理解は得られましたが、さらに組織として定着させるためには、経営陣の理解も必要なので、さらに1年計画で価値訴求をしていきます」
従業員の教育カリキュラムでは、新卒社員向けと現場社員向けのカリキュラムを分けて構成しています。特に重要なのは、現場社員向け教育であり、初級、中級、上級に分けてカリキュラムを策定しました。
「初級は、1日のハンズオン研修で、Domoの使い方を学びます。中級は、選択式カリキュラムで、4−5つのテーマから選択して、3時間コースで学びます。上級は、ビジネスアナリティクスの領域で、現場が抱えるビジネスクエスチョン(BQ)に対して、どんなデータを使って、どんなグラフをDomo上で作るのかを2日間かけて紙とペンで設計します」
現場のBQからDomoで可視化するグラフを考えることで、現場が求めるダッシュボードを作成できます。
「上級コースで設計書ができたら、その後2週間に1回、3−4時間のグループワーク研修を実施します。上級者、中級者、初級者が同じグループになり、ダッシュボードを一緒に生成し、研修の後現場で使えるアウトプットとします。
研修だけでは身につきませんが、現場の要求にあわせたDomoのカードを作り、ダッシュボードに組み込むことで、研修後の活用が定着します。インプットする研修を入り口としたら、Domoのダッシュボードは出口であり、この出口戦略を用意することがもっとも重要です」
この研修制度は2022年にカリキュラム化し、今年度から本格的に実施予定です。
<現場育成で題材とするダッシュボード例>

5.導入後の効果: DX人材が着実に育ち、積極的なデータ活用が進む組織も
半澤氏が属するDX戦略本部は、社内のデータ分析定着の施策として、倉庫の運用状況を把握できる倉庫モニターをDomoのダッシュボードに組み込むなど、現場の人が活用したいデータを登録しておき、使いたい時に使えるようにしています。
「まずは我々が作ったダッシュボードを使ってもらうことから始めました。研修の受講者はすでに300人ほどいますが、そのうち20%にあたる50~60人が日常的にデータ分析に活用しています。この割合は高いと評価しています。1000人が受講すれば200人のDX人材が生まれるので、地道に続けていきたいです」
Domoは、データ分析の出口戦略として非常に有効だと半澤氏は評価しています。
「倉庫モニターの例からもわかるように、データ分析を定着させるためには、業務に紐づいたインプットとアウトプットが必要で、そのアウトプットとしてDomoが最適です」
倉庫モニターについても、現場での意見やアイデアを加えながら、どういう粒度で、何を組み合わせてデータを見せるかを、改善し続けています。
「我々は、研修を通して現場に必要な情報を聞き、どういう風に実装していくか、共に考えながら、現場のニーズにあうデータを作成しています。
データは使ってみてこそ価値が生まれます。使わないでいるよりは、まずは使おうというスタンスで進めて、現場のほうからダッシュボードについて、質問が来るようになれば定着しつつあると捉えています。例えば、『需要予測を作ってみたが精度はどうか』『在庫管理をヒートマップで表したい』といった声があれば、我々がDomoでの実装方法をレクチャーしたり、サポートしたりすることができます。そういう人材がいる現場は、データドリブンな現場として大きく変わります」
※記載内容は2023年6月に行なった取材内容に基づくものです。
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